EIMEI教育グループ代表・川上大樹の著書『教えなければ子は育つ ― AIに負けない「考え抜く力」を授ける見守り術』より、毎日すこしずつお届けします(24/58)。
「教えない」が生む、心地よい緊張感
教室のドアを開けると、そこには不思議な空気が流れています。シーンと静まり返っているわけではありません。かといって、講師が大声で解説しているわけでもありません。
聞こえてくるのは、ページをめくる音、鉛筆が走る音、そして時折、講師が生徒に問いかけ、生徒が答える声だけです。
生徒たちは、オリジナルの「自学自伸note(学習計画と振り返りを記録するノート)」を広げ、それぞれの課題に向き合っています。誰一人として、先生の顔色を伺っていません。彼らの敵は、目の前の問題だけだからです。
講師は教室を静かに巡回しています。生徒の手が止まっていても、すぐには声をかけません。生徒が天井を見上げて考え込んでいるとき、あるいはシャーペンを回しながら虚空を見つめているとき、経験の浅い講師なら「どうした?わからないか?」と声をかけてしまうでしょう。しかし、我々は待ちます。なぜなら、それは脳がフル回転している瞬間だからです。
知識と知識を繋ぎ合わせ、必死に答えを手繰り寄せようとしている、最も尊い時間を邪魔してはいけません。
英語の授業例:現在完了形を発見させる
では、具体的にどう授業を進めているのか。中学英語の難所、現在完了形の導入シーンを再現してみましょう。
普通の塾なら、「have+過去分詞」という公式を5分で教え、暗記させるでしょう。しかし、我々の自学自伸授業は違います。講師は、無言で黒板に2つの英文を書きます。
A: I lived in Tokyo.
B: I have lived in Tokyo.
講師は「Bの訳はどう変わると思う?推理してみて」とだけ告げ、生徒たちに議論させます。教室がざわつきます。「haveがあるから『住むのを持っている』?」「過去形とは何が違うんだ?」
講師はニヤニヤしながら、絶妙なタイミングで「Bは過去から現在まで矢印がビヨーンと繋がっているイメージだよ」とヒントを出します。すると、勘のいい生徒が叫びます。「あ!わかった!今も住んでるってことだ!」
この導入に、我々はあえて20分かけます。一方的に教えれば5分で済む内容に、4倍の時間をかける。しかし、生徒は教わったのではなく、自らの力で発見したのです。
人から聞いた話は3日で忘れますが、自分で発見した知識は一生忘れません。わからないことでも、考えれば辿り着けるという強烈な成功体験こそが、我々が提供したい学びなのです。
EIMEIグループ(エイメイ学院・明成個別・EIMEI予備校)では、この「自学自伸」の考え方で子どもたちの学びを見守っています。無料体験・ご相談はお気軽にどうぞ。
