EIMEI教育グループ代表・川上大樹の著書『教えなければ子は育つ ― AIに負けない「考え抜く力」を授ける見守り術』より、毎日すこしずつお届けします(39/58)。
A. 親は監督を辞任し、スポンサーに徹してください。
強制されるとやりたくなくなるわけ
心理学に「心理的リアクタンス」という言葉があります。人間は、他人から強制されると、たとえそれが自分にとって良いことでも、無意識に反発したくなる性質を持っています。
極端な例ですが、子どもに「今からゲームを2時間しなさい! それが終わらないと好きなことはしてはいけません! 後ろでお母さんが観ているからね! これからは毎日2時間ゲームをしなさい!」と言ったら、子どもはゲームが嫌いになるかもしれません(笑)。
このように「勉強しなさい」と言われた瞬間に、子どもの脳内では「今やろうと思っていたのに、命令されたからやる気が失せた!」という言い訳、防衛反応が起きています。
「勉強しなさい」は勝ち目のないギャンブル
親御さんに問いたいのですが、過去に「勉強しなさい!」と怒鳴って、子どもが「はい! やる気に満ち溢れました! お母さんありがとう!」と目を輝かせて机に向かった例が、人類の歴史上一度でもあったでしょうか? おそらく、ゼロです。
ですから、私はこう提案します。本当に子どもをやる気にさせる自信があるときにだけ、「勉強しなさい!」と言ってください。もし、その自信がないのなら、口にチャックをしてください。
一番良くないのは、親自身が心のどこかで「どうせ言ってもやらないだろうな」と感じているのに、自分のイライラを鎮めるために「勉強しなさい!」と言ってしまうことです。それは、効果がないどころか、子どもの残っているわずかなやる気さえも削ぎ落とす行為です。勝率0%のギャンブルにお金(言葉)を賭けるのはやめましょう。
「うるせークソババア」をサラッとかわす
では、実際に子どもが反抗的な態度をとってきたとき、どうすればいいのでしょうか。 例えば、「うるせークソババア」と言われたとき。
カチンときますよね。「なんですか! その言い方は!」と怒鳴り返したり、お父さんが出てきて「親に向かってなんだ!」と力でねじ伏せたりする。これは、こじらせる典型です。
確かに、力で制圧すれば、子どもは一度引っ込みます。しかし、反抗心が消えたわけではありません。子どもの内部に、行き場のないマグマのようなエネルギーが溜まっていくだけです。力で抑えつけられたエネルギーは、いつか再噴火します。あるいは、自分より弱い者(学校でのイジメなど)へと向かってしまいます。
家庭内で戦いに勝っても、誰も得をしません。ここでの正解は、かわすことです。正面から受け止めず、ヒラリとかわすのです。
(この子も反抗期になったか、順調に成長しているんだな)と余裕を持ちましょう。
子:「うるせークソババア!」
母:「あ~~ら、この子ったら、かっこいい~じゃ~ん! 反抗期かしら~~」
子:「うるせ~な」
母:「はいはい。うるさいですね。黙りま~す。クスッ(笑)」
子:「ッチ!(舌打ち)」
母:「で、そろそろ晩ごはんだけど? クソババアが一生懸命つくった料理食べたい?」
こんな風に、ユーモアでかわすのです。まともに取り合わず、「あなたの反抗期なんて、想定内ですよ」という親の余裕を見せること。こうすると、子どもは毒気を抜かれます。
反抗期の尖ったエネルギーを、正面衝突させてはいけません。家を戦場にするのではなく、傷ついた兵士が羽を休める安全基地にすること。そのためには、親がスポンサー(資金提供者・応援団)にポジションチェンジし、細かい指示は塾や学校の先生という(距離感のある)他人に任せるのが一番です。
親が家庭でかけるべき言葉は、「勉強したの?」ではありません。「ご飯できてるよ」 「最近、遅くまで頑張ってるね」「体調どう? 無理はダメよ」という、生存を気遣う「I(アイ)メッセージ(私はこう思うよ)」だけで十分なのです。
EIMEIグループ(エイメイ学院・明成個別・EIMEI予備校)では、この「自学自伸」の考え方で子どもたちの学びを見守っています。無料体験・ご相談はお気軽にどうぞ。
