EIMEI教育グループ代表・川上大樹の著書『教えなければ子は育つ ― AIに負けない「考え抜く力」を授ける見守り術』エビデンス増補版より、毎日すこしずつお届けします(23/26)。増補版では、中室牧子『「学力」の経済学』をはじめとする教育経済学の研究を各章に織り込みました。この連載では、増補版で新しく書き下ろした「根拠」の部分をお届けします。
「お前は何をやっても続かない」「だらしない」。大人が何気なく貼るレッテルは、恐ろしい威力を持っています。 子どもは素直ですから、貼られたラベルの通りに振る舞おうとしてしまうのです。
特に近年、安易に「学習障害ではないか」と診断名を求めてしまう風潮がありますが、大人の関わり方が変われば、子どもは劇的に変わります。
どうか、マイナスのレッテルを貼らないでください。
ただし、ここで一つだけ、私自身が本書を書き直すにあたって考えを改めた点を、正直にお伝えしておきます。
「お前ならできる」「やればできる子なんだから」。私はかつて、この言葉を無条件に推奨していました。しかし、データはそれを支持していません。
バージニア連邦大学のフォーサイス教授らが行った実験では、成績が悪かった学生を2群に分け、片方にだけ「あなたはやればできる」という自尊心を高めるメッセージを毎週送りました。結果、そのメッセージを受け取った学生のほうが、期末試験の成績が統計的に有意に低かったのです。しかも、もともと学力の低い学生ほど、悪影響が大きかった。
理由は、考えてみれば当然でした。結果が出ていない子に「やればできる」と言うことは、うまくいかなかった事実を振り返る機会を奪い、根拠のない自信だけを与えることになるからです。
では、どう言えばいいのか。
答えは、貼るレッテルの中身を変えることです。
×「あなたは頭がいい」「やればできる子」(能力そのものへの評価)
◎「今日は1時間も机に向かえたね」「今月は一度も遅刻しなかったね」(達成した具体的な行動)
◎「能力っていうのは、生まれつきじゃなくて後から伸びるものなんだよ」(成長可能性についての事実)
コロンビア大学のミューラー教授らの実験では、「頭がいいのね」と能力をほめられた子は成績が下がり、「よく頑張ったわね」と努力をほめられた子は成績が伸びました。スタンフォード大学のドゥエック教授の研究では、「能力は努力で後から伸ばせる」と信じている子ほど、やり抜く力が強く、実際に成績も改善していました。
ほめるな、ではありません。ほめる矛先を、「その子」から「その子がやったこと」に移す。
そうやって貼られたプラスのレッテルは、必ず子どもの潜在能力を引き出す魔法になります。
EIMEIグループ(エイメイ学院・明成個別・EIMEI予備校)では、この「自学自伸」の考え方で子どもたちの学びを見守っています。無料体験・ご相談はお気軽にどうぞ。
