きょうだいで比べないで——一人ひとりの学びに合わせた声かけと関わり方

「お兄ちゃんのときはもっと自分から勉強していたのに」「お姉ちゃんは言わなくてもやっていた」——こんな言葉が、ふと口をついて出てしまうことはありませんか。きょうだいがいる家庭では、どうしても上の子・下の子を無意識に比べてしまう瞬間があります。でも、お子さんの学びのペースや得意・不得意は、同じ親から生まれた兄弟姉妹であっても全く異なります。小学6年生から中学1年生という、学びの土台が本格的に積み上がっていく時期だからこそ、一人ひとりに合わせた関わり方を意識してみてください。今回は保護者の方に向けて、比べない声かけのヒントをお伝えします。

なぜ「きょうだい比較」は逆効果になりやすいのか

きょうだいを比べる声かけは、保護者の「もう少し頑張ってほしい」という思いから来ていることがほとんどです。悪意があるわけではありません。ただ、子どもの側から見ると、比べられた言葉は「自分はできない子だ」という自己評価に直結しやすく、勉強そのものへの意欲が下がるきっかけになることがあります。

特に小6〜中1は、思春期の入り口でもあります。親の言葉に敏感になりやすい時期に、きょうだいと比べる言葉が続くと、「どうせ自分はだめだ」「やっても意味がない」という気持ちが芽生えてしまうことも少なくありません。新座市などの中学では、中1の1学期から定期テストが始まり、内申点のカウントも実質的にスタートします。このタイミングで自己肯定感が下がると、その後の学習に影響が出やすいのです。

「その子だけを見る」視点に切り替えるための小さな工夫

「比べない」と頭でわかっていても、実際には難しいこともあります。そこで意識したいのが、「きょうだいではなく、その子自身の過去と比べる」という視点の切り替えです。

  • 「先月より漢字テストの点が上がったね」
  • 「この前できなかった計算、今日はスムーズにできていたね」
  • 「自分でノートをまとめようとしていたのを見ていたよ」

こうした言葉は、子どもに「自分の成長を見てもらえている」という安心感を与えます。小さな変化を見つけて声に出すことで、子ども自身も「自分はちゃんと進んでいる」と感じやすくなります。きょうだいと同じペースでなくていい。その子なりのペースで前に進んでいれば、それで十分なのです。

得意・不得意がきょうだいで違うのは当たり前

同じ家庭で育っても、子どもの特性はそれぞれです。算数・数学が得意な子もいれば、国語の読み書きが好きな子もいます。コツコツ毎日続けることが得意な子もいれば、試験前に集中して仕上げるタイプの子もいます。どちらが優れているというわけではなく、スタイルが違うだけです。

保護者の方が意識したいのは、「この子はどんな勉強の仕方が合っているのか」を観察することです。上の子に合っていた方法が下の子に合うとは限りません。たとえば、上の子は問題集を繰り返すことで力がついたとしても、下の子は声に出して覚えるほうが頭に入りやすい、ということもあります。勉強法に「正解の一つ」はないので、その子に合った方法を一緒に探す姿勢が大切です。

きょうだいがいる家庭での「学習環境」の整え方

きょうだいがいると、学習環境の面でも工夫が必要になります。たとえば、受験生の上の子がいる家庭で、小6・中1の下の子が同じ空間で勉強するのが難しい場合もあります。逆に、お互いの存在が適度な刺激になって、一緒に机に向かえる場合もあります。

  • 勉強する時間帯をそれぞれの集中できるタイミングに合わせる
  • リビング学習が合う子と、自室のほうが集中できる子を無理に同じにしない
  • きょうだいの勉強量や成績を家庭内で話題にしすぎない(比較の温床になりやすい)
  • それぞれの頑張りを個別にねぎらう時間をつくる

細かいことのように思えますが、こうした積み重ねが「自分のことをちゃんと見てくれている」という信頼感につながります。

塾や先生をうまく活用して「一人ひとりの把握」を補う

家庭だけで一人ひとりに合わせ続けるのは、保護者の方にとってもなかなか大変なことです。きょうだいそれぞれの得意不得意を把握しながら、適切な声かけをするのは、余裕がないときには難しい場面もあります。

そういったときに塾を活用するのも一つの方法です。塾では、その子一人の学習状況を継続的に見ることができるため、「きょうだいと比べて」ではなく「この子がどこで躓いているか・何が得意か」という視点で関わります。中学進学前後の時期は、小学校と中学校の学習内容が大きく変わるタイミングでもあり、早い段階でその子に合ったペースや方法を把握しておくことが、その後の学習につながっていきます。

まとめ:「この子はこの子」——その一言が子どもの土台をつくる

きょうだいがいる家庭では、どうしても比べてしまう瞬間があります。ただ、意識的に「この子はこの子」という目線に戻ることで、子どもが安心して学べる環境が整っていきます。小6〜中1という時期は、勉強の習慣や自分への自信の土台が作られていく大切な時間です。「お兄ちゃんと違うね」ではなく「あなたは最近ここが伸びてきたね」という声かけを、少しずつ積み重ねていきましょう。焦らず、その子のペースを信じることが、長い目で見たときに一番の力になります。

※本記事の制度・配点等の情報は記事執筆時点のものです。最新の正確な情報は埼玉県教育委員会および各高校の公式発表をご確認ください。

この記事を書いた人

HIRO 川上ヒロ先生