「余分な幸せ。メニューの記憶」 【短編物語 作:川上パパ】 〜パパが太ってしまう理由を子どもは知らない〜

「余分な幸せ。メニューの記憶」
【短編物語 作:川上パパ】
〜パパが太ってしまう理由を子どもは知らない〜

外食に行くと、パパはいつも余分に料理を注文する。彼の口ぐせは「足りたか?」と「他に食べたいものは?」で、いつも多めに注文してしまうため、女性や子どもには量が多すぎる。
しかし、余ったものはパパが責任を持って食べる。

「パパはいつも頼みすぎ!」子どもたちは叱るが、パパは「ごめんごめん」と言いつつ、残り物を全部食べる。

そして次も、また注文しすぎるのだ。

なぜパパは毎回注文を過ぎるのだろう?子どもたちには理解できない理由があった。

実はパパは幼い頃、貧しい母子家庭で育ったのだ。
ファミリーレストランに行ってもまず値段を気にして注文していた。
子どもの頃の夢は、「いつか値段を気にせずに好きなものを注文できるようになること」だった。

大人になり、家庭を持った今、パパは妻や子どもたちに同じ思いをさせたくなく、多くの料理を注文してしまう。
それは空回りかもしれないが、パパにとっては幸せなことだった。

家族で食べきれないほどの料理を注文できる小さな幸せを、彼は確かに感じていた。

そして、そんなパパはどんどん太っていくのであった。

この記事を書いた人

HIRO 川上ヒロ先生